2009年06月04日

小林茂「チョコラ」&映画も

小林茂/編著「チョコラ」(岩波ブックレット)&小林茂/監督:映画「チョコラ」
6月2日に、図書館のす『近くにあるお寺で映画「チョコラ」の上映会がありました。常呂とご縁のある小林茂監督、吉田泰三撮影の映画「チョコラ」が完成し、全国上映に先駆けて常呂での上映会となったもの。40人あまりの小さな上映会でしたが、お寺の本堂で観る映画は気持ちよかったです。このお寺では、映画会や講演会、コンサートなどが数多く開催されます。お寺は地域の人たちの生涯学習の場、ということを率先して行っているのです。
ざっとブックレットを読み、映画を観て、再度振り返るようにブックレットを読み直しました。「チョコラ」はアフリカ:ケニアのティカという10万人規模の都市で暮らしているストリート・チルドレンの姿を中心に写し撮った映画。都会のストリートで生きなければならなくなった子どもたちがたくさん出てきますが、子どもたちや社会の問題をえぐり出すということではなく、子どもたちの言葉や暮らしをぴったりくっつくようなカメラワークでとらえています。カメラを嫌がることなく側にあることを子どもたちが受け入れているのは、それだけ小林さんと吉田さんが子どもたちに受け入れられ、すっと彼らの側に入っていく能力があったからだと思います。
誰にも邪魔されない早朝に大きな袋を持って、鉄くずやプラスチック、ビニール製品を拾い集める子どもたちの姿は「稼ぐ子どもたち」という言葉がぴったりです。何人もの子どもたちが出てきますが、家に居づらくなって家を飛び出し、ストリートで生きながら学校にも行きたいという子どもが数人登場します。今回の上映会には、ティカで子どもたちの学校支援や居場所として共同住居を運営しているNPG「モヨ・チルドレン・センター」の松井照美さんもいらして、ご自身の活動やこの映画に登場する子どもたちの状況をお話ししてくれましたが、学校・住居が子どもたちにとってとても大切なことがわかりました。松井さんは、映画上映のプロモーションと現在作っている規模の大きな共同住居n運営費を募金でまかなうために里帰りしているのだそうですが、映画に出てくる子どもたちをかわいそうな存在という視点ではなく、たくましさも備えつつ生きることや学ぶこと、家を出てしまいたくなる衝動など、さまざまな視点でとらえているようです。私自身は、この映画を観て「親子関係と思春期」「たいくつな農村から逃れ、過酷がらも都会で生きる」を選ぶ子どもたち、鉄くず拾いなどなど自活するたくましさとそこに宿る仲間意識、シンナーや暴力などダメになっていく危うさなどを感じました。ただ、そこには説教臭さはみじんもなく、ただただそうした現実がある、子どもたちは受け入れたり生き延びたり、自分の才覚で今を生きるそれだけがある…です。映画最後は、真夜中に互いにお金を出し合い、空き缶で作ったトマトピラフを食べ、その後に、空き缶をドラム代わりにして歌を歌いダンスをするシーン。「チョコラ」の歌で、映画では訳詞も字幕で出ています。毎日がサバイバル、そんな印象の歌詞ですが、ドラムだけのビート&リズムで歌い、踊り続ける彼らのエネルギーに「生きている」躍動感を感じました。先日紹介した沢田としきさんの「アフリカの音」を、アフリカの大地ではなく都会の路地で再現しているかのよう。そうそう、この映画の音楽は、アフリカの楽器「カリンバ(小林茂さんは「リンバ)と書いています)」
の曲です。もう6~7年も前になると思いますが、今回の上映会をしたお寺で、カリンバ奏者のロビン・ロイドさんのコンサートがありました。水音のような音色で、いくつかのフレーズが何回も繰り返され、それがとても心地よく感じたことを思い出します。過酷なストリートではありますが、このカリンバの音色と丹念にぴたりとくっついているカメラ、カメラの存在があっても日常そのままで行動する子どもたち、どこか静かな印象が画面全体に漂っています。人口の大きな北見でおおぜいの人に、大きな画面で見て欲しい映画だと感じます。そして、映画の前後どちらでも、このブックレットも。
映画「チョコラ」の公式サイトは http://www.chokora.jp/





Posted by 常呂図書館・公民館 at 21:00 │いろいろな分野の本